
一口でコンサルティングといっても、その種類は多岐にわたります。会社経営にあたってさまざまな課題が生じますが、その課題によって依頼するコンサルティングも変わってきます。経営課題を最短で解決するためにも、コンサルティング業務の種類を知っておくことが大切。ここでは、コンサルティング業務の種類について詳しく紹介します。
コンサルティング業務とは、クライアント企業の相談を受け、分野についての深い知識と経験を活かし、有効な解決策を提示する業務のことです。依頼された企業の経営における課題をあぶり出し、解決に向けての提案やアドバイスを提供。さらには、解決策を実現するためのサポートを行います。
具体的な業務としては、経営戦略の策定や企業価値の算定を請け負う、などがあります。最終的な判断はあくまでもクライアントに任せるので、コンサルタントはクライアントに必要な情報を収集し、アドバイスを提供する立場になるのです。
そのほかにも、人事的・組織的面でのコンサルティングや、IT・AI関連のコンサルティングなどがあり、専門性が高くなっている傾向にあります。クライアントが支払う報酬も、案件の規模や専門性、コンサルティング期間によって高くなることも。
クライアントが抱える企業課題を解決に導くため、最適なサポートを行う業務。これがコンサルティング業務と呼ばれる仕事です。
経営コンサルタントは、非常に専門性の高い業務。卓越した専門知識と情報収集能力を活かし、クライアントに有益な情報を提供します。
自社に問題があることは分かっていても、何が原因なのか、どのような経営状況なのか。企業の経営者が明確に把握しているケースはそう多くはありません。クライアントにとって、客観的で公正な目線での提案やアドバイスは、社内の意思決定機関において重要な判断材料になるはずです。
経営コンサルタントに依頼することは、クライアントにとって非常に必要性が高いといえます。
コンサルティング業務は、企業経営におけるあらゆる課題を解決するためサポートする業務。どのような種類があるのか、またどのような会社がそれぞれの種類に分類されるのかを詳しく説明します。
会社の特徴においては、各業務別に1社ずつ抜粋して紹介していきます。
その名のとおり、総合的なコンサルティングを行うのです。支援するファームは社員数が多く、大規模な会社である点が特徴。
さまざまな課題に対応可能なので、クライアントのあらゆる企業課題に対して、一貫してサポートができます。課題によっては、ほかのメンバーファームなどと連携してプロジェクトを進めていきます。
チームや連携によって対応するため、単独のファームでは支援が難しい、大きなプロジェクトを受諾することもできるでしょう。総合コンサルティング会社の一例としては、デロイトトーマツコンサルティングやアビームコンサルティング、アクセンチュア、プライスウォーターハウスクーパース、クニエ(QUNIE)などが挙げられます。
デロイトトーマツコンサルティングの特徴としては、日本最大級の経営コンサルティングファームかつマネジメントコンサルティングのリーディングファームのひとつとなっており、世界140カ国に16万人以上のメンバーが在籍しています。最大級の会計事務所である監査法人トーマツやDTC-FAS(財務アドバイザリー)とも連携しており、いろいろなサービス案件に対応しています。
戦略立案だけではなく、実行支援まで含めたプロジェクトも多数で、業務系の案件が多い傾向にあります。
戦略コンサルティングは、戦略領域に絞ってコンサルティングを行います。戦略支援や提案を行いますが、それだけで終わることはあまりありません。
クライアント企業内に深く入り込み、具体的な経営戦略や、各部門の業務戦略の策定から実行までをサポートをすることも。また、全社の経営戦略やM&A戦略などの対応も可能です。
戦略系コンサルティング会社の一例としては、アクセンチュアやアーサー・D・リトル、ATカーニー、ベイン・アンド・カンパニー、ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション、ドリームインキュベータ、マッキンゼーなどが挙げられます。アクセンチュアの特徴としては、世界で約72万1,000人の従業員数を誇る世界最大のコンサルティングファームで、世界中のいろいろな分野や産業の戦略、業務、ITなどのコンサルティングを提供しています。
戦略コンサルティングサービスを提供する組織としても国内最大規模であり、戦略策定から実行までワンストップで行っています。グローバルネットワークを活かした海外戦略や大規模なM&A案件、環境系のプロジェクトなどにも力を入れており、近年の業績は好調、成長傾向にあります。
IT系コンサルティングは、クライアント企業が抱える課題に対し、IT・情報化戦略立案やシステム構想、システム導入までをマネジメントしながら解決に導くコンサルティングです。サービスの規模はあまり大きくはありませんが、独自の強みを活かして、大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広くコンサルティングを行います。
IT系コンサルティング会社の一例としては、ウルシステムズやスカイライトコンサルティング、フューチャーアーキテクト、ビジネスブレイン太田昭和、電通国際情報サービス(ISID)、ケンブリッジテクノロジーパートナーズが挙げられます。ウルシステムズの特徴としては、方法論やフレームワークの構築をはじめ、独自のソフトウェア開発まで行っているコンサルティング会社です。
高度な技術力や先端技術に対する豊富な知見を武器として、各企業の課題解決に取り組んでいます。近年では、クラウドコンサルティングやスマートフォンコンサルティングなどの新規分野への参入にも力を入れています。
人事系コンサルティングは、企業の組織や人事、採用、教育、研修など、人と組織にまつわる問題に特化したコンサルティング。大手のファームでは、M&Aでの組織統合、年金や福利厚生などについてのコンサルティングも提供しています。人事に関するさまざまな課題の対応が可能です。
人事系コンサルティング会社の一例としては、マーサージャパンやタワーズワトソン、ヘイコンサルティング、エーオンヒューイットジャパン、コーチエイ(コーチA)、リンクアンドモチベーション(LMI)、リクルートマネジメントソリューションズ(RMS)、グロービス、APIコンサルタンツ、プラウドフットなどが挙げられます。マーサージャパンの特徴としては、ニューヨークを本拠地として、世界44カ国約180都市に2万2,000名以上のスタッフが在籍する世界最大の組織人事系コンサルティングファームです。
人事系コンサルティングのほかにもアウトソーシングやインベストメント分野で2万5,000社以上のコンサルティング実績を誇っています。また日本においては、40年の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かしてさまざまな業種の企業や公共団体へサービスを提供しています。
M&Aアドバイザリーおよび財務・経理に特化したコンサルティング。M&Aにまつわる経営戦略の立案・決定から、企業との契約締結にまで至るさまざまなプロセスについてのコンサルティングを行っています。
近年、M&A関連の業務はクロスボーダー案件が増加しており、高いレベルの英語力が必要となっています。財務アドバイザリー系コンサルティング会社の一例としては、デロイトトーマツFAS、KPMGFAS、EYTAS、マーバルパートナーズ(旧アビーム M&A コンサルティング)などが挙げられます。
EYTASの特徴としては、M&Aや事業買収、企業の新規市場参入戦略などの提案を行っており、実効性のある成長戦略のコンサルティングを主に提供しています。世界70カ国で5,100名以上のスタッフが在籍し、年間3,000件以上の案件に対応しています。
組織体制としては、9つのチームに分かれており、クライアントのライフサイクル全般のサポートも行っています。
シンクタンクとは、調査・研究を行い、結果を発表したり解決策を提示したりする研究機関のこと。シンクタンク系コンサルティングファームは、大手証券会社や金融機関を親会社としており、民間企業や官公庁を対象に、経済調査や官公庁向けのリサーチなどについてコンサルティングを行います。
大手企業グループのノウハウを採用していることが多いです。シンクタンク系コンサルティング会社の一例としては、NTTデータ経営研究所や富士通総研、三菱UFJ リサーチ&コンサルティング、野村総合研究所などが挙げられます。
NTTデータ経営研究所の特徴としては、1991年にNTTデータが100%出資して設立し、戦略立案や新規事業戦略、IT戦略などの幅広いコンサルティングを行っています。SI業務はNTTデータで行い、案件においてもNTTデータ経由で行っているため、官公庁からの案件も多い傾向にあります。
社会課題や業界課題、課題解決のためのコンサルティングを主としており、信頼も厚いコンサルティング会社となっています。
監査法人系コンサルティングは、大企業に対する会計監査業務を行うコンサルティング。しかし、監査だけにとどまらず、経営コンサルティングやITアドバイザリーなどの非監査業務も実施しています。
監査法人系コンサルティング会社の一例としては、監査法人トーマツやあらた監査法人、新日本監査法人、あずさ監査法人などが挙げられます。監査法人トーマツの特徴としては、日本で最大級の会計事務所のひとつであり、監査やマネジメントコンサルティング、株式公開支援、ファイナンシャル アドバイザリーサービスなどを提供し、BIG4のひとつであるデロイトグループの一員の会社となっています。
国内には約40都市におおよそ2,500名の公認会計士を含むおおよそ5,500名の専門家が在籍し、クライアント先としては主要な日本企業や大規模多国籍企業のコンサルティングを担っています。
国内独立系コンサルティングは、主に小規模店舗から1,000人規模の企業を対象とした、実践的なコンサルティングを主業務としています。生産性向上や品質管理といった現場レベルでの競争力強化に注力。
多くのファームが全国各地に事務所を置き、それぞれの地域に特化したコンサルティングを行っています。国内独立系コンサルティング会社の一例としては、船井総合研究所や日本LCA、日本経営システム、タナベ経営などが挙げられます。
船井総合研究所の特徴としては、社員数500名以上を誇る日本最大級の経営コンサルティングファームです。第二創業期を迎える船井総合研究所は、経営陣の世代交代も行っています。
流通・サービス業を得意としており、2005年には東証一部に上場し、成長し続けています。業種や産業別などで約100チームで構成され、それぞれの専門領域で的確なデータ分析、そして現場重視の調査、分析、実行支援などを行っています。
企業・事業再生系コンサルティングは、経営戦略の立案から実行までを一貫して行うコンサルティングです。企業の内部にまで入り込み、金融債権者などの間に入って再生サポートをしたり、実際に支援先の経営権を取得し、マネジメントとして参画したりするファームもあります。
企業・事業再生系コンサルティング会社の一例としては、アリックスパートナーズや経営共創基盤、山田ビジネスコンサルティング、フロンティア・マネジメントなどが挙げられます。アリックスパートナーズの特徴としては、米国デトロイトに本社を置き、世界最大規模の企業再生専門のコンサルティング会社です。
とくに緊急対応を必要としている企業の支援業務に特化しており、選ばれたスタッフで企業を再生させています。改善点のアドバイスだけではなく、その実行も行うサービスを提供し、企業再生や訴訟支援、社会調査、各企業の財務や業務効率の提案などを専門としています。
コンサルティング業務とは、クライアント企業の相談を聞き、有益な解決策を提示する業務を指すのです。依頼された企業の経営課題を明確にして、提案やアドバイスを提供し、課題を解決に導きます。クライアントにとって、企業経営のプロフェッショナルであるコンサルタントの第三者目線での提案やアドバイスは、重要な判断材料になるでしょう。
コンサルタントに依頼することは、クライアントにとって非常に必要性が高いといえます。コンサルティングには、IT系コンサルティングや人事系コンサルティングなど、多くの種類があります。自社の課題解決に割く時間を最小限に抑えるためにも、さまざまなコンサルティングが存在していることを知っておきましょう。